なんだかんだで、時代は「友情」

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

少女 (ハヤカワ・ミステリワールド)

 女子高校生二人が中心で動いていく話。

 とても細かいところがリアリティがあるなって感じはあったかな。

 お互い家族の影響をとても受けて成長していった感じが伝わる性格描写も秀逸。というか、どの登場人物においても、「家族」というのが、一つのカギになってたと思う。

 特に、由紀には、結構共感したかな。

 タッチーと昴の「友情」とは、少し質の違う二人の「友情」ってのが、対照的に描かれていた気がした。

 まぁ、タッチーと昴の場合は、若いし、入院生活を共にしていて、いつも一緒にいるし、死・病気というものを意識しなければならないってのもあるから、かなり特殊ではあるのかもしれない。

 二人の「友情」を、薄いとかうわべと言ってしまうこともできるのかもしれないけど、ある意味、大人なのかもしれない。

 でも、紫織との「友情」と、二人の「友情」ってのは、また違って(もしかしたら、同じかも)、それが決定的な結果を生む。

 結末も含めて、「友情」について考えさせられたかな。
 

 あと、考えさせられたのは、自分が気付かないところで、人を傷つけている可能性があること。

 この小説は、それが多くあったかなって気がした。

 
 小説自体は、色々な伏線が一気に繋がって、面白かった。

 少し、病院から走って逃げるシーンがいきなりすぎる気はしたけど。 


 「世界は広い」 このフレーズがとても印象に残った。